地域支援事業/交流型日本語教室からの報告

 ―埼玉県「中国文化交流会」の活動から見えたことー 2006年12月9日

 「ここの帰国者は何かが違う。明るい表情や支援者と変わらない落ち着いた自信ある態度、その自信はどこから来るのか。」中国文化交流会の交流活動を見学した日、そんな疑問を持ちながら観察を続けました。



知っている単語を発したり、書かれたひらがなを読んでみたり、とにかく日本語を使ってみたい帰国者。
 所沢市にある中国文化交流会は、ボランティア団体「中国帰国者定着促進友の会」の有志がつくったグループです。数年前当センターが所沢市内の帰国者への参加呼びかけをお手伝いして以来、高齢帰国者を対象に月1回交流会を開いてきました。帰国者が決して多くはない地域ですが、いまではとなりの入間市からも駆けつける帰国者がいます。
 この日はあいにくの雨模様にもかかわらず、11名の帰国者と12名の支援者が「おせち料理実習」に集いました。
 調理という協働作業を続けながら、異文化間コミュニケーションに慣れた支援者たちは簡単な日本語で帰国者に語りかけます。一方の帰国者も喜々として日本語と中国語を交えながら答えます。時には中国語を教えることも。そんな風景があちこちで見受けられました。単語レベルの日本語でどうしてあんなに積極的に話そうとするのか。一般的な日本語教室ではともすれば緊張し、埋もれがちな存在である高齢帰国者がここでは支援者と対等に生き生きと過ごしています。

日本料理実習は中国の親戚知人に「『日本料理を作れないの?』と問われ残念だった。」との声に応えたものです。

本格的おせち料理が並んだテーブル。ベテラン主婦の支援者ならでは。

当日急に立ち上がって日本語であいさつを述べた帰国者の婦人は最後に握り拳をつくり「がんばります」と一言。
帰国者からは「(ここに通っているうちに)日本人と話すのが怖くなくなった。」「近所付き合いがうまくできるようになった」との声もあるそうです。
 改めて、高齢帰国者にとって地域の人との交流の場がもたらす意味と日本語学習支援のあり方を考えさせられました。

当日帰国者が自発的に準備した歌が披露されました。中国語歌詞カードのコピーも支援者へ配布。 

日中対訳のおせち料理メニューを書き写しながら、唯一の通訳者に質問できるのも嬉しい。




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